難消化性デキストリンは便秘に効果的?結論 ある


こんにちは調理師のfree-lifeです。



日々体にいい食品、食事、栄養のことを考えて料理を提供しています。



先日お客様に最近便秘気味なんだけど、難消化性デキストリンという食物繊維って効果があるの?



という質問を受けました。



水溶性食物繊維の難消化性デキストリンにはさまざまな効果があると言われていて、その1つに便秘解消ということもよく聞きます。



しかしながら「便秘が改善した」、「まったく効果がなかった」などと意見はさまざまです。



さて今回はそんな難消化性デキストリンは、本当に便秘に効果があるのか?



というお話になります。



難消化性デキストリンとは








難消化性デキストリンというのは、とうもろこし等の天然のデンプンから生まれた食物繊維のことで、消化されにくいデンプンのことをいいます。



元々トウモロコシなどの穀類や熟した果物などに含まれ、化学的に消化されにくい成分を取り出したもので、粘性や甘味は少なく、ほぼ透明で耐熱性・耐酸性に優れているのが特徴です。



難消化性デキストリンは、日本人の食生活が欧米化し、食物繊維の大切さが認知されるようになり、不足しがちな食物繊維を補う目的で作られた背景があります。



またミネラルの吸収を邪魔しないため、多くの食品に応用されています。

そして難消化性デキストリンは食物繊維に該当し、水に溶けやすい性質から水溶性食物繊維に分類されます。



難消化性デキストリンの特徴




難消化性デキストリンは人間のからだで消化されない栄養素の、食物繊維に分類されます。



食物繊維には水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維があり、難消化性デキストリンは水に溶けやすい水溶性食物繊維になります。



食物繊維は消化されませんが、0kcalではなく、0~2kcal/g程度はあるようです。(難消化性デキストリンのカロリーは1kcal/g)



難消化性デキストリンの働き




難消化性デキストリンは胃ではほとんど吸収されませんが、小腸では約10%吸収され、大腸で約50%発酵などに利用され、約40%が便として排泄されます。



消化性デキストリンは、一部の糖が吸収されにくくなるのであって、全ての糖が吸収されなくなるのではないという事を覚えておいてください。
暴飲暴食しても大丈夫という話ではありません。




主に大腸で力を発揮し、糖質やコレステロールの吸収を抑制する働きなどがあります。



難消化性デキストリンは便秘の味方




難消化性デキストリンは便秘の味方




腸内には100兆個を超える腸内細菌が存在し、善玉菌と悪玉菌と日和見菌といった3種類の菌がバランスが保たれることで腸内環境は維持されます。



善玉菌は腸内環境を改善する働きがありビフィズス菌や乳酸菌などがあります。



次に悪玉菌とは腸の働きを悪くする菌のことで、大腸菌やウェルシュ菌などがあります。



最後の日和見菌はどちらか優勢な方に味方をする菌で、善玉菌の数が多ければ善玉菌の味方、悪玉菌が多ければ悪玉菌の味方をして腸内環境を悪くしてしまいます。



なので善玉菌を意識的に増やせば日和見が味方をしてくれるので、腸内環境は改善されます。



ここでポイントになるのが今回のテーマの難消化性デキストリンです。



難消化性デキストリンが含まれるる食品は善玉菌大好物!



胃で消化されなかった食物繊維は、大腸に届くと善玉菌のエサになって発酵され、大腸で重要な働きをする酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が作られることに役立ちます。



大腸は



  • 善玉菌を増殖する
  • 大腸内を酸性に傾けて、悪玉菌や腐敗物が生息しにくい環境をつくる
  • 大腸粘膜を強化する
  • 大腸のエネルギー源
  • 免疫力を高める



この様な働きによって便の増量や蠕動運動が活発化して、便を押し出してくれて大腸が健康的に保たれる効果が期待出来ます。



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難消化性デキストリンの安全性は?




難消化性デキストリンの安全性は?




古くから食品に利用されてきた難消化性デキストリンですがその安全性はどうなのでしょうか?
とうもろこしのデンプンから作られた水溶性食物繊維の難消化性デキストリンは、アメリカの政府機関であるアメリカ食品医薬品局(FDA)では、難消化性デキストリンの1日の摂取量の上限を明確に定める必要がないほど安全な食品素材であるとしています。



さらに過去の安全性を調べた試験結果では、特に問題となるような症状は確認されず、安全であると報告されています。
またその他の臨床検査値、特に血清たんぱく質、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)などのミネラル濃度について、難消化性デキストリンの摂取が原因となる変化はまったく認められなかったと報告されています。
(参照:臨床栄養 Vol.83 No.3 P301-305 1993)



しかし過剰摂取した場合、稀に一過性の下痢やお腹のハリなどがあるようです。



自身のおなかと相談しながら活用するとよいでしょう。



日本人の食物繊維不足は深刻




日本人の食物繊維不足




それでは1日にどれくらいの食物繊維を摂取すればよいのでしょうか?



下記に厚生労働省が推奨する量を提示しています。



成人男性では21g以上、成人女性では18g以上が望ましいとされています。



年齢等男性1日の(目標量)女性1日の(目標量)
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳)
3~5(歳)8g以上8g以上
6~7(歳)10g以上10g以上
8~9(歳)11g以上11g以上
10~11(歳)13g以上13g以上
12~14(歳)17g以上17g以上
15~17(歳)19g以上18g以上
18~29(歳)21g以上18g以上
30~49(歳)21g以上18g以上
50~64(歳)21g以上18g以上
65~74(歳)20g以上17g以上
75以上(歳)20g以上17g以上
妊婦18g以上
授乳婦18g以上




食物繊維の食事摂取基準(g/日)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)より作成



1950年頃は、日本でも1日20g以上摂取していたといわれていましたが、近年では穀類や芋類、豆類の摂取量の低下、また食の欧米化の影響もあり、食物繊維不足が加速しているようです。



厚生労働省の報告によると日本人の1日の平均摂取量は14.4gと目標に到達していません。



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食物繊維が不足するとどうなる?




食物繊維が不足するとどうなる?




便秘でお悩みの方は、実は食物繊維量が不足しているのかもしれません。



食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化によって便秘になりやすくなります。



その結果、痔や、大腸癌また、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。



ちなみにお隣韓国の食物繊維摂取量は日本の摂取量を上回っていて、とくに野菜の消費量は500g/日(日本:281g/日)日本人の倍近い量で、世界でもトップクラス。



あのハリのあるキレイなお肌の秘密は、食物繊維にあるのかもしれません。



腸は栄養素の吸収や免疫系が存在するなど重要な働きを担っています。



便秘はお腹のハリだけではなく肌のトラブル、大腸がんのリスクなど何もいいことがありません。



今回のテーマの難消化性デキストリンのような水溶性食物繊維は、特に不足しているといはれています。



水溶性食物繊維は



  • 大麦
  • きのこ
  • 海藻
  • 果物



などに豊富に含まれていますので、毎日意識的に食べる事から腸活を始めてみてはいかがでしょうか。



それでも不足気味の時はサプリメントで補うことがいいと思います。



まとめ




今回のテーマの難消化性デキストリンは、便秘解消に効果があるという事が分かりました。



しかしこれらが含まれる食品を、食べたらすぐ解消される薬みたいに思う事は間違いです。



食物繊維をしっかりとって腸内環境を整えながら、運動や水分補給などで腸の動きを活性化することも大事です。



しかし残念な事に腸内環境は簡単に変化してくれません。



どんなに善玉菌が含まれるヨーグルトなどを食べても、食べる事をやめてしまえばまたもとに戻ってしまいます。



なので毎日の継続が健康的な腸を手に入れる為には必要です。



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