こんにちは調理師のfree-lifeです。
日々体にいい食品、食事、栄養のことを考えて料理を提供しています。
先日お客様に最近お腹の調子が良くない気がするんだけど、食事の仕方が悪いのかしら?
もしそうだったらどんな食事の仕方をしたらいいのかしら?
この様な質問を受けました。
お腹の中には色々な臓器がありますが、便のコントロールや免疫活性などの役目以外にも沢山の働きをしてくれるのが腸です。
最近では腸活という言葉が出来るほど、便秘解消や病気の予防などの効果が期待されており、健康の秘訣は腸にあるといっても過言ではありません。
最近の研究では、日本人の腸内環境は特有で、そこに健康の秘密が隠されているのではないか?と注目されています。
今回は腸内細菌と腸内環境を整えるのに役に立つ「まごはやさしい」の食事についてのお話になります。
腸内細菌とは
人間の腸の中には、約100兆個以上の腸内細菌が存在しています。
腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌、そしてどちらか優勢なほうに見方をする日和見菌があり、それらの菌がバランスを保ちながら腸内環境を維持しています。
そして健康な方のバランスは「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」で腸内環境を保っているといわれてきました。
しかし研究が進むにつれて腸内環境は、生活環境や性別、年齢などの個人差に加えて人種差などによる違いがあることがわかり、これらは遺伝的背景や食事などが影響していると考えられています。
家族間で毎日同じ食事をしていても、腸内に生息する菌数や菌種は異なり、ある人の腸ではよい働きをするけれども、別の人の腸では悪さをするような菌もあるようです。
腸内に生息する代表的な菌をご紹介します。
善玉菌
代表的なのは、ビフィズス菌や乳酸菌のフェーカリス菌やアシドフィルス菌などです。
これらは悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促すことによって、お腹の調子を整えてくれます。
悪玉菌
代表的なのは、大腸菌やウェルシュ菌などで、腸内で有害物質をつくり出します。
脂質や動物性たんぱく質を好み、悪玉菌が増えると、便秘や下痢などお腹の調子が悪くなることもあります。
日和見菌
日和見菌とは、腸内でよいことも悪いこともしない中立的な菌です。
しかしこの菌はどちらか多い方の菌に見方をする性質があるため、悪玉菌が増えれば悪玉菌の見方をします。
ただし中には体調を崩したりすると悪さをしようとする菌も存在します。
腸内細菌の7割は日和見菌といわれています。
腸内環境を整えよう
腸内環境を整えるとは、悪玉菌、善玉菌、日和見菌のバランスをよくすることで、悪玉菌より善玉菌が多い『腸内フローラ』に整えることが健康への第一歩となります。
最近よく聞く「腸活」は、『腸内フローラ』を整え、維持する活動のことをいいます。
悪玉菌はアルカリ性に強く、酸性に弱い特徴があります。
普段肉などのタンパク質ばかりの食事をしていると、腸内はアルカリ性になってしまい悪玉菌が増えやす環境になります。
これを防ぎ腸内を酸性に傾ける必要があります。
その為にはどうすればいいのか?
プレバイオティクス(善玉菌のエサを食べる)
プレバイオティクスとは善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を直接食べることで、腸内でオリゴ糖や食物繊維が腸内細菌により発酵(分解)をうけて、酢酸や短鎖脂肪酸などが作られることで腸内は酸性に傾き、悪玉菌が生息しにくい環境となります。
さらに短鎖脂肪酸は、腸管内でエネルギーの代謝を亢進したり、脂肪の蓄積を抑制したり嬉しい働きをしてくれます。
プロバイオティクス(善玉菌を食べる)
プロバイオティクスとは、ヨーグルトなどのようにビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌がすでに含まれている食品を食べて、腸内に善玉菌を直接取り込み、腸内を酸性に傾けることで悪玉菌が生息しにくい環境をつくることです。
腸内に入ったビフィズス菌や乳酸菌が元気に働き、短鎖脂肪酸などをつくってくれて、腸内環境を保ってくれます。
シンバイオティクス
シンバイオティクスとは、プレバイオティクスとプロバイオティクスを両方行う事で、より強力に腸内環境を整えようというのがシンバイオティクスです。
つまり善玉菌のエサになる オリゴ糖や食物繊維をたべて善玉菌を増やしながら乳酸菌などの善玉菌が含まれる食品を食べて直接善玉菌を腸に増やすということです
腸内環境を整えることによるメリット
排便がスムーズに
腸内環境を整えることで、便秘や下痢の改善また肌がキレイになるなどの効果があります。
善玉菌のエサとなる食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、水溶性食物繊維は、腸内でゲル状となり排便を促す働きがあります。
不溶性食物繊維は、腸内の水分を吸収し便のカサを大きくしながら移動するので、下痢や軟便などの改善効果が期待できます。
また老廃物を掃除しながら排泄されることで大腸がんの予防にもなるといわれています。
便秘になるとよく肌に良くない影響が出る方がいますが、これらも改善する効果が期待できます。
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免疫力アップ
免疫細胞の7割は腸内に存在すると言われていて、腸内細菌の働きを高めることで免疫力を高められると考えられます。
善玉菌は免疫細胞を活性化させ、細菌やウイルスなどの病原菌から身体を守る働きがあるので、腸内環境が整うことで免疫系が正常機能し、ウイルスや細菌といった外敵から守ってくれて、風邪などの病気にかかりにくくなります。
人間の免疫力は通常20代がピークで、加齢に伴って低下していくといわれています。
これを腸内細菌を整えることで、年齢を重ねても健康を保つことができます。
太りにくくなる
腸内細菌のバランスと肥満には関連があると考えられています。
肥満は主に、食事から摂取したエネルギーが使いきれず、脂肪として体内に蓄えられてしまうことによって起こります。
腸内細菌のうちの「フィルミクテス門」と呼ばれるものは食事から多くのエネルギーを取り込んでしまうため、フィルミクテス門が腸内に多く生息している方は肥満になりやすいといわれてます。
また太ることでさらに腸内細菌のバランスが悪化する、悪循環にも陥ってしまいます。
つまり、腸内の細菌のバランスを整えフィルミクテス門を減らすことで、太りにくくなる可能性があるということですね。
また腸内環境が悪いと便秘になりこれが長く続くことにより基礎代謝が低下し脂肪が燃焼しにくく、瘦せにくい体になってしまいます。
また、腸内環境が悪いと便秘になってしまうことはご存知の方も多いでしょう。
「あまり食べていないのに太りやすい……」
という方は腸内環境を整え多様な腸内細菌を共生させることで、太りやすい体質を改善することができるかもしれませんよ。
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腸内環境を整える食べ物
最近の研究で、腸内環境が国ごとで大きく異なり、日本人の腸内環境はビフィズス菌が多く、ワカメや海苔を分解する酵素遺伝子が他の国と比較して多いなどの特徴がわかってきました。
これら日本人特有の腸内環境が、長寿や低い肥満率と関連していると考えられています。
一汁三菜を基本とした日本の食事のバランスのよさは、世界的にも高く評価されています。
しかし、食の欧米化が進み、コンビニやファーストフード店など手軽に食べられる飲食店が増えてきたことから不規則な食生活を送っているという方も多いことでしょう。
無形文化遺産に登録され世界中から健康食として注目される日本食。
その健康食の合言葉「ま・ご・わ・や・さ・し・い」をご存じですか?
この言葉は、食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱されているバランスのよい食事の覚え方です
ま:豆類
植物性たんぱく質が豊富に含まれ豆類。
大豆そのものよりも豆腐、納豆、みそなど発酵させたものがおススメです
とくに納豆には、善玉菌のエサとなる食物繊維とオリゴ糖が含まれています。
さらに納豆菌は、乳酸菌などのプロバイオティクスとしての性質もあると言われているため納豆を食べることは、プレバイオティクス、プロバイオティクスの両方行うことが出来るシンバイオティクスということになります。
大豆を発酵させて作る味噌や醤油には、乳酸菌などの菌を含みプロバイオティクスの効果が期待できます。
ご:ごま
ごまには、食物繊維の他にビタミン・ミネラル、不飽和脂肪酸、たんぱく質など健康に欠かせない栄養素がたっぷり含まれています。
殻が固く消化しにくいので、刻んだり、すりつぶしたりして使うことで吸収もよくなります
和風のゴマドレッシングでサラダを食べるのも一石二鳥ですよね。
和え物やサラダにかけたり、毎日少しずつ取り入れてみましょう。
わ:ワカメなどの海藻類
ワカメやめかぶ、昆布などの海藻類には、水溶性食物繊維とミネラルや鉄分が豊富に含まれています。
お酢や油と一緒に調理すると、効率よく栄養を摂取できます。
とくに水溶性食物繊維は不足しやすいです。
味噌汁の出汁を昆布からとり、具材としてわかめを入れるなどして味噌汁やサラダなどに入れて毎日少しずつ取り入れるようにしましょう
や:野菜
緑黄色野菜・淡色野菜・根菜類など 野菜によって含まれる栄養素は違いますが、ほぼすべてに食物繊維やビタミンやミネラルが含まれています。
とくに玉ねぎやごぼう、アスパラガス、キャベツなどはオリゴ糖を含んでいます。
1日350gを目標に食べることが推奨されていますが、これはけっこうな量です。
加熱するとかさが減るのでたくさん食べられますのでみそ汁などに入れることでたくさん食べることが出来ます
また味噌にはダイエット効果もあるので是非おすすめです。
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さ:魚
肉類ばかり食べていると悪玉菌が増えると言われています。
肉の脂肪を消化する際に胆汁が分泌されます。
その胆汁と悪玉菌が反応して発がん性物質を発生する可能性があるようです。
一方であじ・いわし・あさり・さば・鮭・まぐろ・たこ・えび・牡蠣・しじみなど 魚はたんぱく質の宝庫。
その中でも特にサバ、イワシなどの青魚の油には、EPA・DHAといった動脈硬化を予防する物質が豊富に含まれています。
魚は塩焼きや味噌煮など調理のバリエーションも豊富なので、是非肉に偏らず肉や魚をバランスよく取り入れてみましょう。
し:シイタケなどのキノコ類
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、どちらも取り入れるのがベストです。
シイタケなどのキノコには、水溶性と不溶性のどちらもたっぷり含まていてさらに低カロリー!
香り食感ともによく、和食・洋食・中華とどのジャンルの料理にもあうので毎日食べることをおすすめします。
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い:芋類(ジャガイモ、さつま芋、里芋など)
さつまいも・じゃがいも・こんにゃくなど いも類は食物繊維と炭水化物を多く含みます
特にサツマイモなどに含まれる水溶性食物繊維は、腸内でゲル状となり腸内をお掃除しながら便の排泄を促します。
白米やパンなどよりネバネバ成分を含む、里芋や山芋がおすすめです。
そのまま食べるのはもちろん、ゆでたり、揚げたり……やさしい甘みとホクホク食感は、子供から大人まで人気があります。
よ:ヨーグルトなど乳製品
言わずと知れたヨーグルトには乳酸菌が含まれています。
近頃はビフィズス菌が添加されたヨーグルトも販売されています。
これらの菌が体内で直接的に働いたり、発酵(分解)されて酢酸や短鎖脂肪酸などを作り、悪玉菌を排除したり、腸内のエネルギーとなって腸内環境改善、維持してくれています。
つ:漬物
日本では昔から食べられている漬物の「ぬか床」には乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌など、たくさんの善玉菌が含まれていて、まさに善玉菌の宝箱です。
そしてぬか床のすごいところは、温度・湿度・漬け込む野菜など環境に応じて、菌量や菌種が変化して床の中では常に微生物の化学反応がおきていて、代々受け継がれるぬか床にはヨーグルトよりも遥かに多い乳酸菌が含まれていることもあります。
日本食には腸内環境を整える食材がたくさんあります。
また乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が定着するためには時間がかかるといわているため、これらの食品を毎日バランスよく食べることで腸内環境が改善されます。
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まとめ
和食は以上のことからも分かるように大変優れた食文化です。
近年食の欧米化が進み、その代償として肥満や脂質異常症、糖尿病などの疾患が増えているのも事実です。
和食は世界が認めた食文化なので、今一度和食中心の食生活を心がけてみてはいかがでしょうか。
和食は腸内環境改善のための世界が認めた食事と言えます。