「食物繊維」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
便秘解消、整腸作用又血糖値の急上昇抑制などで知られる食物繊維。
具体的にどのような働きがあり、私たちは日々どのくらいの量の食物繊維をとるのが良いのでしょうか?
今回はそんな食物繊維について、期待できる効果や働き、また多く含まれる食品までのお話しです。
食物繊維とは
食物繊維とは体内で消化・吸収されず、小腸を通って大腸まで到達する食品成分のことで、目に見える野菜のスジそのものを指しているわけではありません。
食肉などの動物性の食品にはほとんど含まれず、野菜や穀類など植物性の食品に多く含まれています。
食物繊維は炭水化物の一種です。
炭水化物の中で、体内で消化できるものを「糖質」。消化できないものを「食物繊維」とよびます。
以前は、体内で消化できないことから「役に立たない栄養素」として扱われてきましたが、1970年代頃より、消化できないにも関わらず体内でさまざまな良い効果がある事がわかってきて、今では「第六の栄養素」として大変注目されています。
食物繊維の種類
食物繊維といっても、セルソースやペクチンなど色々な種類があります。
食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と溶けない「不溶性食物繊維」の2つに分類されます。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、腸内で善玉菌のエサとなり、発酵することにより悪玉菌の発生を抑える働きがあります。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、保湿性が高い事が特徴で水分を吸収して膨張し、腸を刺激して排便を促す効果があります。
食物繊維の作用・働き
食物繊維の働きとして有名なのが整腸作用です。
腸内環境を整え、便通を促す作用があります。
さらに食物繊維の一種には、コレステロールや糖の吸収を抑制する効果もあります。
整腸作用
食物繊維には、便のカサを増やし、大腸を刺激することで腸の動きを活性化して排便を促す効果があります。
また、食べ物(食物繊維)が胃や小腸を通って大腸にとどくと、食べ物に含まれる食物繊維が大腸内の腸内細菌のエサになり、善玉菌を増やしてくれます。
その結果、腸内環境を良い状態に保つことができます。
腸内環境が良い状態になることで、排便が促され、便秘解消、また腸内環境が改善されることで、免疫力アップの効果も期待できるといわれています。
血糖値上昇を抑える
他の栄養素の吸収を妨げたり、吸収速度を遅らせたりする働きがある種類の食物繊維もあります。
食物繊維を摂取することで、糖の吸収速度を緩やかになります。
その結果、血糖値の上昇速度を抑え、食後の血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。
「食後の血糖値上昇が気になる方に」や「糖の吸収を穏やかにする」と記載された特定保健用食品(トクホ)などの商品は、食物繊維の一種を使用したものなどが多いです。
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血中コレステロール濃度の低下
糖と同じように、食物中に含まれるコレステロールの吸収を妨げる作用がある食物繊維もあります。
また、コレステロールを体外へ便と一緒に排出してくれる働きもあり、体内の血液中のコレステロール濃度を低くするなどの効果や、血圧や脂質異常症の予防効果があることから生活習慣病対策にはかかさせない栄養素といえます。
食物繊維働き・作用 まとめ
水溶性食物繊維は、
- 血糖値の上昇予防
- 脂質異常症予防
- 高血圧予防
- 腸内環境改善
に有効です。
不溶性食物繊維は、
- 便秘解消・予防
- 有害物質の排出
- 大腸がん予防
に有効です。満腹感が得られやすく、食べ過ぎや顎の強化も期待できます。
2つでの効果
- 便通改善
- 血糖値上昇抑制効果 (糖尿病予防効果)
- コレステロール改善効果
- 高血圧予防
- 腸内環境改善効果
- 免疫力アップ効果
食物繊維が多く含まれる食品は?
食物繊維はおもに、野菜類・穀類・きのこ類・豆類・いも類・海藻類などに多く含まれます。
それぞれどのような食品があるのかみていきましょう。
野菜類100gに含まれている食物繊維量
順位 | 食品名 | 食物繊維量 |
---|---|---|
1位 | わらび(乾燥) | 58g |
2位 | 唐辛子(乾燥) | 46.4g |
3位 | ゼンマイ(乾燥) | 34.8g |
4位 | かんぴよう(乾燥) | 30.1g |
5位 | 菊のり | 29.6g |
穀類100gに含まれる食物繊維量
順位 | 食品名 | 食物繊維量 |
---|---|---|
1位 | 米(米ぬか) | 20.5g |
2位 | おおむぎ(麦こがし) | 15.5g |
3位 | 小麦(小麦はいが) | 14.3g |
4位 | 小麦(玄穀) | 14.0g |
5位 | ライむぎ(全粒粉) | 13.3g |
この他にも押し麦やライ麦粉などにも多くの食物繊維がふくまれています。
キノコ類100gに含まれている食物繊維量
順位 | 食品名 | 食物繊維量 |
---|---|---|
1位 | あらげきくらげ(乾燥) | 79.5g |
2位 | しろきくらげ(乾燥) | 68.7g |
3位 | きくらげ(乾燥) | 57.4g |
4位 | しいたけ(乾燥) | 41.0g |
5位 | まいたけ(乾燥) | 40.9g |
まめ類100gに含まれている食物繊維量
順位 | 食品名 | 食物繊維量 |
---|---|---|
1位 | おから(乾燥) | 43.6g |
2位 | あずき(さらしあん) | 26.8g |
3位 | べにばないんげん(全粒・乾燥) | 26.7g |
4位 | あずき(全粒・乾燥) | 24.8g |
5位 | つるあずき(全粒・乾燥) | 22.0g |
いも類100gに含まれている食物繊維量
順位 | 食品名 | 食物繊維量 |
---|---|---|
1位 | こんにゃく(精粉) | 79.9g |
2位 | 凍みこんにゃく(乾燥) | 71.3g |
3位 | 凍みこんにゃく(ゆで) | 15.5g |
4位 | アメリカほどいも(塊根・生) | 11.1g |
5位 | じゃがいも(塊茎・皮付き・生) | 9.8g |
海藻類100gに含まれている食物繊維量
順位 | 食品名 | 食物繊維量 |
---|---|---|
1位 | てんぐさ(粉寒天) | 79.0g |
2位 | 天草(角寒天) | 74.1g |
3位 | えごのり(素干し) | 53.3g |
4位 | 干しヒジキ(ステンレス釜・乾燥) | 51.8g |
5位 | 干しヒジキ(鉄釜・乾燥) | 51.8g |
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食物繊維不足問題
1950年頃より、「食の欧米化」が急速にすすみ、タンパク質や脂質の摂取量は増える一方で、炭水化物や食物繊維の摂取量は減少しています。
それにともない高血圧症や糖尿病などの生活習慣病が増加傾向にあります。
さらに近年の健康ブームで、「抵糖質ダイエット」とよばれる糖質を控える無理な食事によるダイエットが注目を浴びたことで、さらに食物繊維が不足がちになっています。
まとめ
近年食の欧米化が進み、食物繊維は不足気味になっています。
野菜を意識しながら主食や副菜、野菜、海藻、豆類、きのこ類など食物繊維を多く含む食品を取り入れてみてはいかがでしょうか。
また主食に玄米や大麦をまぜて食べるのも、大変効果的ですので是非やってみてください。
それでも足りないようなら、サプリなどを取り入れるのもひとつの手段だと思います。
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