こんにちは調理師をしているfree-lifeです。
毎日色々なお客様に食事の仕方や栄養のこと、レシピなどを聞かれてお答えしています。
先日お客様にフルクタンの事を聞かれたので、今回はこの得体の知れないフルクタンについてのお話しをします。
「フルクタン」?
少し聞きなれない言葉だと思いますがフルクタンとは、簡単に言うと砂糖に果糖(砂糖やはちみつに含まれる糖)が3つ以上結合した糖などの総称の事をいいます。
なので一言でフルクタンといっても、その中にはたくさんの糖が属しています。
ヨーグルトやチョコレートなどによく添加されている「オリゴ糖」やサプリメントで販売されているイヌリンもフルクタンに属します。
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フルクタンを多く含む食品
フルクタンは微生物や植物に存在するといわれております。
私たちが普段から食べている次のような食品に多く含まれております。
- ユリ科:玉ねぎ、ネギ、ニンニク、アスパラガス
- キク科:レタス、菊芋、チコリ
- イネ科:大麦、小麦、らい麦、オーツ麦
フルクタンの働き
フルクタンの仲間のオリゴ糖は、ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌のエサになり、腸内環境を整える効果があります。
このような働きからオリゴ糖は、「特定保健用食品」としての使用が認められております。
最近では、オリゴ糖が入ったヨーグルトやチョコレートなどもよく見かけるようになり、以前よりも身近な存在となっているのではないでしょうか。
またフルクタンは食品以外では、保湿性があるという特徴から、化粧品などにも使用されています。
最近では動物におけるフルクタンの特性が分かってきて、牛は通常の牧草に比べ、フルクタンを多く含んだ牧草の方が消化がよく、好んで食べることがわかってきています。
この様な実験が行われました。
この研究では、マウスにネギの葉の部分から抽出したフルクタンを、マウスに経口投与した場合にin vivoにおけるウイルス複製に対して阻害作用を示した。
加えて多糖類はインフルエンザAウイルスに対する中和抗体の生産を促進させた。
したがって多糖類の抗ウイルス機構は宿主の免疫システムに依存し,すなわち宿主免疫機能の高揚は多糖類の投与によって達成される、と考察した。ネギのフルクタンは抗インフルエンザウイルス作用を発揮する活性成分の1つである、という事が示された。
参考文献https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201202207450940691
簡単にいうと、ネギの葉の部分から取り出したフルクタンは、インフルエンザの予防に効果があったという事です。
よく昔からネギを食べると風邪をひきにくくなるというのは本当だったんですね!
このようにフルクタンは食品産業だけではなく、さまざまな分野で利用され研究が進んでいます。
フルクタンの摂取目安量
フルクタンは、小腸では吸収されずに大腸にいどうし発酵され、腸内細菌のえさになって善玉菌の増加や便量増加などの良い効果をもたらします。
近年の健康ブームで、日本だけではなく海外でもオリゴ糖やイヌリンなどを含む食品の売り上げは右肩上がりになっています。
一方で、食べ過ぎるとお腹が張ったり、腹痛や下痢などの症状が起こる可能性があるともいわています。
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「FODMAP(フォドマップ)」という言葉を聞いたことがありますか?「FODMAP」とは、発酵性の消化されにくい糖のことをいいます。
FODMAP(フォドマップ)
F:fermentable (発酵性)
O:oligosacharides (オリゴ糖)※オリゴ糖を含むフルクタンやイヌリン
D:disaccharides (二糖類)※乳製品に含まれる乳糖
M:monosaccharides (単糖類)果物やはちみつに含まれる果糖
A:and
P:polyols (ポリオール)※キシリトールなどの糖アルコール
この「FODMAP」は、過敏性腸症候群(IBS)大腸内視鏡などの検査を行っても目に見える異常がないにもかかわらず、下痢、腹痛、腹部膨満感、ガス、便秘などの症状に悩まされる病気に効果があるといわれています。
この過敏性腸症候群を改善する治療にFODMAP(フォドマップ)を含む食品を3週間すべてカットして、1つずつ徐々に再開して原因の食品を特定し、その食品の摂取量を減らす事で改善されます。
参考資料https://www.tanaka-cl.or.jp/guidance/special-outpatient/nutritional-therapy/fodmap/
要するに食べ過ぎはダメという事ですね!
まとめ
フルクタンは食品だけでなく、化粧品や医療など幅広く活用されている成分です。
食品や工業、医療の分野でどんどん研究が進み、新たな効果が発見されればいいですね!
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